北海道フットサル連盟 女子フットサル委員会の取り組みについて、委員長 茎津 都 氏、副委員長 森野 久美子 氏、佐藤 祐介 氏の3名にお伺いしました。
今回は、茎津氏のインタビュー記事をお届けいたします。
写真:北海道フットサル連盟 女子フットサル委員会の皆さん
-北海道女子フットサルリーグ(以下、道リーグ)について教えてください。
北海道は雪が降るので、地域柄、冬場はフットサルをしますが室内サッカーのような感覚で練習をしていることがほとんどで、フットサルだけをやっているチームや選手は全くいなかったことから、道リーグは当初、初心者リーグとして始まりました。
北海道で女子のフットサル人口を増やすために女子のフットサルリーグを立ち上げようという話になった頃、本州では女性芸能人のフットサルリーグがあり、アイドルグループのハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)を通じて、当時芸能人女子フットサル選手として活動いた、北海道札幌市出身の里田まいさんから北海道サッカー協会へ「北海道にフットサルを根付かせたいのでリーグ戦を作りませんか?」というお誘いがあったと聞きました。
ふたつのタイミングが合ったこともあり、私達も大賛成で取り組みが始まりました。里田まいさんはチーム(チェルビーズ)のキャプテンで選手として毎試合出場していました。そういったお力添えもあり、スポーツ新聞の芸能ページに大きくフットサルの記事を掲載頂きました。※24時間テレビ(STV)にも出演
これがきっかけとなって北海道で女子のフットサルが広く知れ渡り、認知され始めました。
第1回目には、10チームが集まりました。
初心者のリーグだったので、サッカー経験者からは「やりたいって気持ちがありつつも初心者リーグではやりづらい。」という声がありました。それなら、初心者と経験者の2つのリーグに分けて、やってみようと動き出しました。続けていくうちに道リーグをやれるんじゃないか、という事になり、ランニングタイムからプレイングタイムに慣れてもらい、2011年に道リーグが始まりました。
試合は、エンジョイリーグがランニングタイム、道リーグはプレイングタイムで実施しています。
昨今は、新型コロナウイルスの影響で少しチームは減ってしまいましたが、現在も2部制でやっています。エンジョイリーグはうまく回っていかなくなってしまいましたが、1DAY大会などを開催しています。
-北海道U15女子フットサルリーグについて教えてください。
2020年に公益財団法人日本サッカー協会(以下、JFA)主催でU-15女子サッカーリーグができました。
おそらくこれがきっかけとなり「U15の年代に年間を通してボールを蹴らせる機会を作りたいので冬場にフットサルできないでしょうか?」と、JFAから北海道サッカー協会の女子委員会が相談を受け、北海道サッカー協会で女子委員長を務めていた方が私たちに話を持ってきてくださいました。
私としては、ずっとこの年代層(U15・U18)のリーグをやった方がいいと考えていたのでJFAと北海道サッカー協会の女子委員会の方と私で打ち合わせをして実現に向けて動き出しました。JFA発信だったので進めやすかったですし、スムーズに進んでいきました。資金については北海道サッカー協会にご協会をいただきました。
時間はかかりましたけど、サッカーとフットサルが共有して意見を出し合うような場ができるキッカケになりました。チームを動かしてもらうときに、サッカー協会発信だと動きやすいところはあるので、少しずつフットサルを理解してもらう動きをし続けることが大切ですね。
あと、育成年代にはサッカーとフットサルの両方を経験してもらって、好きな方を好きなようにやってもらいたいです。そのために私達は選べる環境づくりをしていかなければいけません。
―華リーグについて教えてください。
年に3・4回、大学年代のアプローチとして審判講習も併せたリーグ戦を5チーム(各10人)くらいが参加し、開催していました。やりたい人ができるように場所を提供して、登録もなしで当日でも参加できるように、また、選手たちが参加しやすい日程で調整していました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、参加チーム数が減ったこともあり、昨年は1DAY大会を開催になりました。
この華リーグの中から、フットサルをもっとやりたいって気持ちになった選手は道リーグのチームを紹介したり、いい循環になっていたと思います。女子サッカーのチームも減ってきてしまっているので、アプローチは難しいですけど、U23の年代にも働きかけていきたいですね。
-これからの取り組みについて教えてください。
2023度、育成年代(U18)のリーグ戦とクリニックを開催できないかと考えています。北海道はとても広いので道内だとしても移動費がどうしても嵩んでしまうので助成金の申請をします。
育成年代は、フットサルのルールやスポーツを理解している人が少ないという意見があるので正式にリーグが立ち上がって8チームが参加してくれるといいなと思っています。北海道は、高等学校女子サッカー選手権に14チームが出場しています。そのほかに4チームのクラブチームがあり、前向きな反応もいただいているので18チーム中8チームが集まってくれたら、と期待しています。特にこの年代はお金がかかりすぎると困ってしまう年代なので負担をなるべく減らしてあげたいです。いろんな会場でリーグ戦を実施したいし、資金面をクリアしたいです。
-人員や資金面で苦労していることはありますか?
道リーグにはある程度の人数がいます。審判の方は協会から派遣してもらっているので、調整がついています。日当は協会の規定に合わせていますが、その人たちにも生活があって、コロナ禍で来てくれていることを考えて時間を調整したりして少しでもプラスになれば…と思っています。
本心で言えば、ある程度の余裕をもって運営をしたいです。やっぱりみんなが楽しんで帰ってくれると嬉しいです。私も含めて、楽しみにここにきていて、ここに来るといつも笑っているんです。本当にありがたいなと思います。
-最後に女子フットサルの在り方についてお聞かせください。
育成年代はサッカーでもフットサルでもしっかり続けられる選手が増えたらいいなと思っています。小学校を卒業して辞めてしまう選手が多いですけど、なんとなくまた集まってサッカーでもフットサルでもやりたいなと思ってほしくて、そのときにその声を届けられる場所があるようにしたいです。
あとは、普及という層の子たちが本当のフットサルやサッカーを見て、自分でやりたいって気持ちを持ってほしいです。大人も育成年代の子もエンジョイでプレーできる場も作りたいです。北海道は広いので、地区ごとに女子委員の担当者を出していただいています。この方々を中心にエンジョイの大会がいろいろな場所でできるように動き出しているのでもっと時間はかかると思いますけど、全道大会のようなものを1DAYでもいいのでやりたいですね。
今、北海道は女子委員会として一緒に頑張ろう!という雰囲気ができてサッカーとフットサルでも何かあれば話ができるようになりました。サッカーにもフットサルにも送り出せるようないい環境づくりがしたいと思っていたので年齢や体力によってどっちも選べるようにいい循環ができてきて嬉しいですね。お子さんがいても安心して楽しめるように、託児所なども考えていきたいです。
〈プロフィール〉
茎津 都(くきつ みやこ)
1962年5月17日生まれ、北海道札幌市出身
一般社団法人北海道フットサル連盟 副会長(女子委員会委員長)
公益財団法人北海道サッカー協会 理事
フットサル委員会 副委員長
取材/日本フットサル連盟 今井 千秋