スポーツ庁・ガバナンスコード検討委員会において、U-18カテゴリーの重点普及・組織課題プロジェクトメンバーの中心となっている、神奈川県フットサル連盟 理事長・武相高校フットサル部 指導者の大友 洋介氏に、自身とフットサルの関係やガバナンスコード検討委員会での取り組みについて、お伺いしました。インタビュー内容は、前編と後編の2回に分けて掲載させていただき、今回は前編をお届け致します。
―自身とフットサルの関係を教えてください。
私自身にはフットサル・サッカーの経験はありません。2002年の7月に「フットサル部を作りたい」と有志で生徒たちが集まり、私が顧問になったのがはじまりでした。そこから、週1・2回の活動を1年ほど続けましたが、学校からは活動実績が不足していると指摘を受け、部活動としての認可を得ることができませんでした。ただ、当時の社会人チームがとても協力的で、一緒に練習会に参加させてくれたり、民間リーグに出場させてもらったり、社会人チームに混ざって週3回ほどの活動実績を積むことができ、1年7ヶ月後の2004年2月に同好会としての認可が下りました。
2003年に4級審判の資格を取り、翌年2004年には3級審判の資格を取り、サッカー協会関連の大会で笛を吹くようになりました。大会を通じて、神奈川県協会のフットサル委員長と出会い、大会を作ってほしいと伝えさせていただいたことがキッカケで、2005年に神奈川県協会フットサル委員会に入りました。気がつくと、それから16年、アンダーカテゴリーの役員を担当しています。
2006年には、U-18カテゴリーの第1回大会を開催しました。2007年に第2回大会を開催したところで、JFAからキャプテンズミッション7という(サッカーファミリーの普及発展にともなう支援金制度)お知らせがあり、翌2008年にU-18カテゴリーのリーグ戦を立ち上げることができました。企画書を送ることからはじまり、8チーム総当たり1,5回戦、7カ月間にわたるリーグ戦40試合を実施しました。3年間は支援金をいただきながら開催しましたが、その後は支援金なしで開催することができるようになりました。
―当時と比べて、今の状況はどう変化したと思いますか?
すごくいい事案として、指導者が増えたことです。一時代を経て、一線で活躍した選手達が指導者にまわることで、若い選手たちがフットサルの面白さを学ぶことができるようになりました。
ただ、指導者が増えた反面、チーム数が増えたようには感じていません。当時と比べるとフットサルの競技人口が減ってしまったと感じています。ようやくFリーグの各チームが下部組織を持ったということは感じています。
東京都や神奈川県では、Fリーグチームが下部組織を持った時には、すでにリーグが出来上がっていました。下部組織がリーグに参戦することで、リーグのレベルは格段に上がりました。今振り返ると、リーグとチーム互いにとって、とても恵まれていたことだと思います。まだリーグが普及していない地域では、Fリーグの下部組織と都道府県連盟が協力してリーグを立ち上げられると良いのではないかと考えます。
―子供たちにとってフットサルがどういう存在だと嬉しいですか?
サッカーよりもおもしろいよ!と知ってほしいですね。まずは、フットサルをやってみてほしいです。
―サッカーとフットサルの関係はどのように見ていますか?
一括にサッカーとフットサルといっても、色々なチームがあります。フットサルのチーム形態は、学校のフットサル部、学校のサッカー部、クラブチーム、友達同士で作ったチーム、この4つになると思います。この中でも区別ができ、学校のフットサル部でも3つのパターンがあると考えています。
1つ目は、サッカー部の人数が非常に多くフットサル部ができるケース。
2つ目は、都内で特に多いのですが、敷地が狭く、サッカー部ではなくフットサル部を作るケース。もしくは、校舎と別にグラウンドがあり、本校舎ではサッカーができないのでフットサル部ができるケース。
3つ目は、フットサル愛好者が多く、生徒たちの熱意によりフットサル部ができるケース。
私が知る限りでは、部活動として認可が下りなくとも、10年以上そのまま活動を続けている学校のフットサル部も存在しています。
サッカー部の場合は、サッカーとフットサルの両方をやるケースもあります。フットボール部として、ハイブリット型で完全に両方の活動を行う部もありますし、高体連の登録とは別に、部内にクラブチームを作るチームもありました。というのも、リーグ戦では1校複数チームの出場が可能になっていますが、選手権やインターハイでは1校1チームの出場しか認められていません。この制限がある限りは、100、200人の部員数を抱える学校は、11人(+登録メンバー)しか出場することができません。そのため、柔軟な姿勢の学校は、高体連、クラブユースに加えて、フットサルの試合にも出てくるケースがあります。
また、11人が揃わないという学校もあります。部活動も強豪校を除くと、アルバイトを中心に活動をしている学生もいます。いくらサッカーが好きでも人数が揃わないという理由でフットサル大会に出場するケースもあります。
クラブチームでも同様で、フットサル専門の街クラブもありますし、Fリーグや関東リーグの下部組織として活動しているチームもあります。フットボールクラブの中に、サッカー部門、フットサル部門を作って取り組む方法もあります。
小中学生は特に、サッカーとフットサルどちらにも区別なく取り組んでくれると嬉しいです。
取材/(一財)日本フットサル連盟 今井 千秋
次回【後編】は、4月20日(水)に公開致します。
【プロフィール】
大友 洋介(おおとも ようすけ)
現在、学校法人武相学園 武相中学高等学校 理科専任教諭として勤務
生年月日:1977年8月10日
出身地:秋田県秋田市
出身校:秋田県立秋田高等学校
横浜国立大学教育学部基礎理学課程
※本事業協力/アビームコンサルティング㈱
2022年4月18日(金)
スポーツ庁・ガバナンスコード検討委員会
委員長 原田 理人